自動車は私たちの日常生活に欠かせない存在ですが、その利便性と共にガソリン燃料消費量や環境への影響も懸念されています。ここで登場するのが「低燃費タイヤ」です
この記事では、低燃費タイヤについて詳しく掘り下げ、その意義やメリット、選び方について解説します
低燃費タイヤとは、燃費を向上させるために設計された環境に優しいタイヤのことです
従来のタイヤと比べて、転がり抵抗を減少させる工夫がされておりクルマの燃料消費量を削減する役割を果たします。また、燃費の向上だけでなく、「低燃費ではないタイヤ」と比べて、タイヤの重量が軽量に設計されていることから、燃費向上につながっています
タイヤが路面上を転がる際に発生する抵抗のことです。転がり抵抗が小さいタイヤほどよく転がり、少ない燃料で多くの距離が走行できるのです
転がり抵抗は車の燃費に直接影響を及ぼす要素のひとつであり、転がり抵抗が大きいと燃費が悪化する可能性があります。
車のタイヤに関する情報を明示し、消費者がタイヤの性能や燃費効率を比較できるようにするための制度になります。燃費やウェットグリップ(雨天時のグリップ力)といったタイヤの性能をラベルに表示することで、消費者が適切なタイヤを選ぶ際に役立てることを目的としています
ウェットグリップとは、雨天や湿った路面など、濡れた状態の道路でのタイヤと路面の接地性能を指します。ウェットグリップはタイヤが滑りやすい濡れた状態でのトラクションを示す重要な性能指標になります
良好なウェットグリップを持つタイヤは、雨や水たまりが多い状況でも、車が安定して曲がったりブレーキをかけたりすることができます。逆に、ウェットグリップが悪いタイヤは、滑りやすくなり、制御が難しくなるため、安全性が低下する可能性があります
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)が業界自主基準として策定した低燃費タイヤ等のラベリング制度におけるグレーディングシステム(等級制度)にて、転がり抵抗性能の等級がA以上且つ、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義しています
「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」を以下のように等級分けしています
・転がり抵抗係数 :5等級(グレード AAA 〜C)
・ウェットグリップ性能:4等級(グレード a 〜d)
単位(N/kN)
転がり抵抗係数 (RRC) |
等級 |
---|---|
RRC≦6.5 | AAA |
6.6≦RRC≦7.7 | AA |
7.8≦RRC≦9.0 | A |
9.1≦RRC≦10.5 | B |
10.6≦RRC≦12.0 | C |
ウェットグリップ性能 (G) |
等級 |
---|---|
155≦G | a |
140≦G≦154 | b |
125≦G≦139 | c |
110≦G≦124 | d |
低燃費タイヤとして認められた製品は、タイヤ製品ラベル、カタログ、Web等に表示されています
この表示の場合は、転がり抵抗性能が AAグレード、ウェットグリップ性能が cグレードでありA以上のため、低燃費タイヤであることを示しています
この表示のあるタイヤは、転がり抵抗性能が Bグレード、ウェットグリップ性能が bグレードで「B」のために低燃費タイヤには分類されないです
低燃費タイヤは優れた転がり抵抗により、クルマの燃料消費量を減少してくれます。ガソリン代が高騰している現在において、燃料代を節約するためには、低燃費タイヤの装着は必須になります
また、クルマから排出されるCO2は気候変動に大きな影響を与えますが、低燃費タイヤの装着することで、温室効果ガスの排出量を削減し、環境保護に貢献することができます
さらには、低燃費タイヤは高品質な素材と技術を投入して設計・製造されているため、通常のタイヤと比べて耐久性に優れているので、長いシーズン使用することも可能です。タイヤ交換の購入・交換の頻度の減少に期待できるといったメリットがあります
・転がり抵抗を抑えて、ガソリン代を節約できる
・温室効果ガスを抑制し、環境保護に貢献できる
・長いシーズンでの使用に期待できる
一方で、「低燃費タイヤではないタイヤ」を選んでしまうと、転がり抵抗が大きくなりクルマの燃費が悪化します
・余計なガソリン代がかかり、月々の家計負担が増える
・転がり抵抗が大きいことで、無駄な燃料消費にともなうCO2排出が増える
・タイヤ寿命が短い可能性があり、タイヤに関わるコスト負担が増える
実際にどれくらいガソリン代が節約できるのか見てみましょう
ラベリングの転がり抵抗の等級が一つあがると燃費が1%程度、改善が見込めます
出典:株式会社ブリヂストン
例えばC グレードのタイヤを装着していてAAのタイヤに交換することで、3%程度の改善が見込まれます。
レギュラーガソリン1リッター190円として
月平均 1,000 km走ると1年間で 12,000 kmの走行距離
クルマの平均燃費が10.0 km/ℓなら
1年間で1,200のガソリンが消費されます
月平均走行距離1,000km÷現状の燃費10km/ℓ
=年間消費量1,200ℓ
月平均走行距離1,000km÷3%改善後の燃費10,30km/ℓ
=年間消費量1,165ℓ
1年間でガソリン代、約35ℓ節約になります
年間約6,650 円お得になります!
カタログやWEB、タイヤのラベルに表示されるラベリングを確認しましょう。AAAからAの評価で示されており、AAAが最も優れた燃費性能を意味します
低燃費タイヤの場合はこのようなマークが表示がされています
引用元:JATMA
タイヤサイズは、車種に合った適切なサイズを選びましょう。誤ったサイズは性能や燃費に悪影響を及ぼす可能性があります
カーメーカーで指定しているタイヤサイズは運転席側のドアに表示されています
・荷重が不足しているなどの理由から車検に通らない
・タイヤ外径などの問題から速度メーターに誤差がでる
・タイヤハウスに干渉し、走行に支障をきたす恐れがある
など、さまざまな弊害があります。メーカー指定のタイヤサイズを装着しましょう
また、「低燃費タイヤ」は信頼性のあるタイヤブランドを選ぶようにしましょう。その際には、他のユーザーの使用レビューや評価も参考にすると良いでしょう
「低燃費タイヤ」と一言に言っても、さまざまな種類が存在し、購入に悩むかと思います。下記ページでも紹介しています
そして「低燃費タイヤ」は通常、春から秋に向けての使用に適しています。冬は雪や氷に対応したスタッドレスタイヤを装着しましょう
非降雪地区、準降雪地区でも冬場は凍結の恐れがあります。とくに遠出される方や山などレジャーを楽しむ方はスタッドレスタイヤの装着は必須です
また、スタッドレスタイヤを一年中装着して走行する、いわゆる「履きつぶし」は燃費悪化につながります。夏タイヤに比べてゴムがやわらかいスタッドレスタイヤは燃費悪化だけでなく、ブレーキを踏んで完全に停止するまでの制動距離は夏タイヤに比べて長くなります
ご自身や同乗者の安全だけでなく、周囲の自動車を事故に巻き込まないためにも、冬季以外は夏タイヤを装着しましょう
スタッドレスタイヤと夏タイヤの違いはコチラで紹介しています↓
低燃費タイヤは現代の自動車社会において、省エネルギーと環境保護の観点から重要な役割を果たす存在です
その燃料効率の向上や環境への配慮は、個人の経済的なメリットだけでなく、地球全体の持続可能性にも貢献するものと言えるでしょう
「低燃費タイヤ」に交換することで、燃料消費量を抑えることで燃費改善が見込めます。さらには耐久性に優れたケース構造により、長いシーズン装着も期待できます(但し使用環境や走行条件により変わります)。燃費改善につながり、環境にやさしい「低燃費タイヤ」は現代の高性能なクルマに必須ともいえるパーツです
ぜひ、この機会に「低燃費タイヤ」への交換を検討してみてください